ROE向上を目的にする経営の危険性

近頃、日経新聞がROEをベンチマークとする経営を煽っていますね。


しかし、ROEが高ければ良いかと言うと、そうじゃない。
そもそも、ROEの式を見て見ましょう。


自己資本利益率ROE) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROE = 当期純利益 / 株主資本 × 100


『ROEが高い』→『効率的に経営が出来ている、株主にとっても魅力的』
『ROEが低い』→『効率的な経営が出来ていない』
というのが日経の方針ですね。


では、ROEを高めるには、どうした良いのでしょうか?


 式を見ると判りますが、
当期純利益を増やす。
自己資本を減らす。
 2種類の方法があります。


 深刻な問題を含んでいるのが、②ですね。

②の自己資本には、内部留保(企業の貯金みたいなもの)も含まれています。
内部留保が多い会社(安定している会社)程、ROEが小さくなってしまうんですね。


貯金を配当に回し自己資本を減らせば、株価は上昇しますし、ROEも向上します。

しかし、企業の安定性や機動的な経営が大きく失われます。


短期的な株式上昇をもたらすけど、長期的にはどうなのと言う感じです。
まぁ、デイトレーダーには関係ありませんが。


また、自己資本が貧弱で、負債が多い会社も、ROEが大きく見えてしまいます。


 それって良いの?って、話です。


 基本的に、その会社の資本効率が良いかどうかは、ROEではなく、ROA(総資産利益率)を見た方が良いですね。
 ROAが高くて、自己資本比率が高い会社ならば、かなり安全高収益と言えます。