お父さん、レディースコミックと少女コミックは違うと思います。

 ゴールデンウィーク最終日、BOOKOFFで古本を物色していたら、小学校高学年の女の子とお父さんの親子が入ってきた。


 たぶん、この店が初めてだったのだろう。
「○○。レディースコミックは二階みたいだよ」とお父さんは娘を二階へと案内しようとした。
 そのBOOKOFFは2階建てで、階段にある案内に、レディースコミック/BLと書かれていたので、そう言ったのだろう。
 だが、その瞬間、店員も含めて一瞬場の空気が凍った。


 レディースコミック。
 その存在は広く知られていても、なかなか口に出すのは、はばかられる言葉だ。少なくとも私的には。それに親子でレディースコミックを買いに来るなど、なかなか強者の一家だろう。


「パパ。レディースコミックと少女コミックは違うよ」と女の子は小声で答えた。
 その時、私の心には、どこか安堵したものがあった。


「似たようなものだろ」とお父さん。
「違うよ」と言っただけで少女はそれ以上説明しなかった。

 小学校高学年の娘さんの立場で、父親に「レディースコミックと少女コミックの違い」を説明するのは、難しかったのだろう。


 その時、私は思った。
「誰か、お父さんに、レディースコミックと少女コミックの違いを教えてあげてください」


 まぁ、確かにレディースコミックも 少女コミックも、ついでにBLも女性が主な読者層と言う点では間違いないけど、なんだろう。その溝はかなり深いような気がする。


 いや、それは私が、現代の少女コミックを知らないために起きる幻想だろうか。
 きっと少女は、私が思うそんな溝をあっという間に超えていくのだろう。