国債とインフレ 〜増税せずに国債を償却するということは、結局どうやって踏み倒すのかと同じなのだろうか?

 高橋是清の積極財政の話は、よく出てくるのですが、国債をどうやって償却したのでしょうか?
 かなり肝心な話ですが、あまり話に出ません。


 また、第2次大戦中、各国は大量の国債を発行したのですが、どうやってお金を返却したのでしょうか?


【日本の場合】


私自身、詳しくありませんが、戦時債券というものがありました。
http://www.tse.or.jp/about/arrows/museum/museum17.html
こちらで物価の推移を見ますと、
http://chigasakioows.cool.ne.jp/ima-ikura.shtml
1940年と1951年を比べた場合、約200倍?くらい。
1945年と1951年を比べた場合、約100倍?くらい。
物価が上昇しています。


日本は、戦後直後、ハイパーインフレ程ではないですが、なかなかのインフレに見舞われましたので、実質の返済額はまともに返したとしても100分の1になっています。
つまり、仮にGDP比200%あったとしても、金額が変わらず、物価が100倍になるのであれば、GDP比2%へ大幅圧縮。

持っていた人は、価値が100分の1になっているので、実質ほとんど踏み倒しでしょう。

 
 高橋さんの場合は、その後戦争に突入していますので、実質はインフレによる踏み倒しでしょう。


【他国の場合】


こちらが、他国に関する記載。
http://f59.aaa.livedoor.jp/~bokujin/world.html
http://green.ap.teacup.com/pekepon/347.html
アメリカは、どうやら、強引に、低金利の債券に、切り替えたようです。

もっとも、戦時中、GDPの120%ぐらいしかいっていないので、どうなんでしょうか?
http://en.wikipedia.org/wiki/United_States_public_debt

その後の、インフレと経済成長、低金利債券という要素を考えますと、こちらも増税というより塩漬けですね。
もっとも、国債を買っても得しないので、非常に長期にわたる部分的な踏み倒しとも言える。
とはいっても、実質経済が成長して、生活水準が向上するならば問題ではない。
生産性向上の割には生活水準が伸びないという問題が起きますが。


増税せずに返すということは...】


①利息は低利で払い。元金塩漬け。元金が減るのは、経済成長、インフレ任せ。
②インフレだのみで、ほぼ全て踏み倒し。
 敗戦国は、②のパターンでしょうか。

 ②ですと、経済が崩壊します(敗戦国だからできる荒治療)ので、
 日本は、①のシナリオのために、物価をインフレにしたいんだけど、なかなか通貨を原因にしたインフレになってくれない。

 税金を払わない代わりに、強制的に、手元の現金や給与が実質減少して、国家を運営して行くのが、財政を原因にしたインフレ。
 ブラジルやアルゼンチンの例のようになれば、決して庶民の生活は楽にはならない。
 ただし、株式や不動産などの資産は、ほぼ物価にスライドして上がっていくし、紙幣が紙くずになっても会社や不動産は残るので、金持ちは意外と安泰だったりする(没落する人も多いけど)。


 アメリカみたいに経済成長が、がっちり出来れば、実質成長分で、人々の生活は少し上がる。


 何事もにも、そんな上手い話はないような。
 なんというか、現代の日本の議論は、ドラえもんのノビタと同じレベルが多いような気がする。