下北沢再開発 〜立地から考える 着地点は予備校の無い高田馬場か

 結論から言いますと、下北沢は立地が良いので、街の小売規模などのスケール自身は衰退しない。ただ、若者文化や個性などは衰退しますが。
 着地点は予備校の無く劇場がある高田馬場
【交通】
 下北沢駅は、小田急小田原線、京王の井の頭線の乗換駅・交換駅となっています。つまりは、下北沢は、交通の便が良いわけです。また、急行も停車します。
 乗換駅ですので、商業地・歓楽街としては非常に向いています。また、急行の停車駅ですので、広域からお客を集めることが可能です。過去に闇市があったわけですが、戦後闇市が出来て、当然の立地です。
 逆に、閑静な住宅街には向きません。閑静な住宅街を作るのでしたら、乗換駅・交換駅の下北沢や豪徳寺ではなく、梅が丘のような交換駅ではない、急行も止まらない駅が向いています。現在、再開発を機に、下北沢の歓楽街を壊滅させ、閑静な高級住宅街に使用と考えている人も居るようですが...立地に全然あっていません。
【大学・学校】
 小田急小田原線、京王の井の頭線の沿線には、大学が多いです。
 京王の井の頭線の沿線には、東大の駒場キャンパス、明治大和泉キャンパスがあります(渋谷には青山、国学院、吉祥寺には、成蹊大があります)。
 小田急小田原線の沿線には、成城大、明治大、専修大東京農大などがあります(厚木方面を含めるとさらにです)。学生が多い路線です、この辺は、小田急線に乗ると判ります。隣駅の「井の上」に高校も多く、明大と東大の駒場キャンパスが近くにあることから学生街に向いています。また、沿線の大学の多さと、交通の利便から学生たちが集まり易い立地です。
【現状との比較】
 下北沢が若者の多い街・学生の多い街になるのは、立地を考えますと...まぁ当たり前です。
 演劇の街・サブカルチャーの街になるのは、単純に若者が多いためではなく、創作意欲が高い学生・大学が居るためだと考えられます。
 本多劇場があるからサブカルチャーの街になった面がありますが、もともとそういう立地だったから、本多劇場が出来た面があります。また、本多劇場が繁栄したのも、立地と合っていたためです。
 学生は金が無いので、高級店ではなく、値段が低めの店になるのは、当然です。
 結論から良いますと、現状の街は非常に妥当な結果となります。
【別の道は?】
 交通の立地が良すぎるので、どの道閑静な住宅街はムリです。結局、どんな商業地・歓楽街になるかの問題です。
 大規模店が進出するわけではないので、新百合ヶ丘溝の口のようにはなれません。
 白金や恵比寿、代官山、自由が丘のような高級店の街になるでしょうか? 可能でしょうが...学生が多い沿線ですので、そこまでの購買の需要があるか謎です。代官山や恵比寿は、広尾の影響をもろに受けています。高級店が高級店を呼ぶのであり、立地、歴史や経緯を無視した大転換は容易ではありません。また、自由が丘の緑道のように、緑がありません高級なエリアには緑が不可欠です。高級店を引き付けるためには、エリア自体の雰囲気をキッチリ演出しないといけないのですが...どうもそこまでは地権者や住民・区も考えていないような...
【思惑が空振りした場合】
 現在、サブカルチャーが前面で居ますので、単純な歓楽街的な要素は押さえられています。しかし、サブカルチャー要素を壊せば、立地上歓楽街的な要素が前面に出てきます。予備校の無い高田馬場になる可能性が高いです。また、学生要素を消せば...歓楽街要素がさらに強まり、小さな南の北千住になる可能性が高いです。
 立地が良いので、小さなオフィス街も夢ではないのですが...まぁ、面白みが無いでしょう。若い人が多ければ良いのですが...おっさんが増えるでしょうから、やっぱり、小さな南の北千住か。
【現状維持でも...】
 実は賃料が上がっており、もはや若い起業家が若者向けの商品を出す街としての地位は下がっています。また、単価が安い商品古着などは、遅かれ早かれ消滅します。立地のよさから、チェーン店は増えるでしょうが。
 JR沿線である高円寺や吉祥寺などに、どのタイミングで地位を奪われてもおかしくありません。
 再開発をしてもしなくても、岐路に立っている街です。