下町ロケット 〜帝国重工の品質管理とテスト

 家族が下町ロケットを見ていたので、一緒に診ていました。
 その際、製造業以外の人には、背景が判り辛いので、家族に色々と説明しました。


 ドラマの中で、 
 佃製作所は新規取引先なので、経営状態や工場を検査する与信調査を行います。
 これ自身は、イジメでもなんでも何でもありません。


 ロケットの部品は、通常の製品以上に高品質を求められます。
 また、ロケットはオーダーメイドの一品物に近いですし、特許の関係で、佃製作所しか作れませんでの駄目なら他社という手がないので、 途中で倒産なんてことになりましたら、一大事です。
 設計のやり直し、帝国重工が作ることになったとしても、計画が遅れます。
 そのため、非常に厳しい検査になります。


 で、帝国重工の内部の都合・思惑で、
 初めから落とすことを目的に必要以上に佃製作所に厳しいテストを課しました。
 これはイジメですね。


 さんざん、意地悪をするのですが、最終的には、
 非常に嫌味な人ですら、帝国重工の人たちは、公平な検査をします。


 なぜ、虐めていた人たちが、最終的には、公平な検査をしたのか。


 たぶん、この辺の部分は普通の人には判りにくいかもと思いました。
(私の家族は判っていませんでした。実は善人でしたぐらいに思っていたみたいです)


 検査をしていた人たちは、おそらく品質管理部か、それに近い人たちだと思われます。


 部品を買う購買には、購買部門や技術部門が関与するのですが、
 正直、購買部門や技術部門の人がズルする可能性があるんですね。
(賄賂を貰ってインチキ製品を良い製品としたり、逆に良い部品を悪いとしたり便宜する)
 もしくは、騙される。


 そのため、大企業では、独立した品質管理部が購買部門や技術部門が買う部品をチェックします。


”社命で評価する”とのセリフが出てきましたが、彼らは技術部の命令で、検査をしているわけではありません。
(逆に技術部が検査しなくて良いと言っても検査します)


 テレビの中では、上司と部下に見えたかもしれませんが、まったく独立した組織、命令系統なんです。
 多少は配慮して動けたとしても、開発部に協力して、虚偽の報告をしてしまっては、彼ら自身の職務上大問題になるわけです。


 なんやかんや言っても、帝国重工は、結構まともな会社です。
 悲しいかな、自身の出世・評価のために視野が狭い人が居るのが、妙にリアルですが・・・



【現実世界】
 現実世界では、東洋ゴムのように品質管理部門がそもそもあるのか、怪しい大企業もあります。
 また、どんなに独立していても、経営陣からは独立していないので、経営陣が不正を支持した場合は、どうしようもありません。