スポーツビジネスと日程と平日開催 〜土日集中は正しいのか?

 バスケットのBJリーグでも、アイスホッケーでも、バレーでも土日休日開催が基本。


 平日開催は、基本やりたがりません。


 そりゃそうですよね。

 
 平日だと、子供はなかなか来れないし、家族連れも難しい。大人の人も次の日仕事で夜遅くは嫌だ。


 その結果当然、平日開催は、観客動員が芳しくない。


 プロ野球でもそうですね。やっぱり土日休日はお客が入る。


アメリ
 しかし、不思議なことに、アメリカは、土日休日開催が基本ですが、平日も多い。


 チーム単位で見ますと、金土日が一番多いです。リーグ全体でも金土日が多いですが・・・
 リーグ全体を見ますと、平日にも、どこかのチームが大抵やっています。
 マイナーリーグでもそうです。


 なぜなんでしょうね。
 なかなか、探しても明確な理由がないのですが、考えられるのは次のような理由。


①メディア対策
 日本の新聞とか、TVを見ると判るのですが・・・土日はスポーツが一杯。
 野球とサッカーが重なると、スポーツ欄だけで数ページにもなる。


 逆に、平日はページが減ります。


 こんなに土日に集中したら、取り上げるスペースも、時間もありゃしない。
 そもそも、記者さんが大変でしょう。


 仕事的にも土日にしか試合・取材がないのであれば、平日暇になる。
 当然、ビジネスとして成り立たないので、専門記者も居なくなる。


 野球はその点、巧妙ですね。試合数が多く、平日もやっている。
 ほぼ毎日記事がある。
 ほぼ毎日仕事があり、毎日にそれをネタに新聞などを売れる。


 結果として、専属記者もいるし、紙面のスペースも確保できる。


 収益的には美味しくないですが、平日開催をすることにより、メディアに取り上げられやすくなる。


 損して、得取れの世界です。



②アリーナの都合 特に経営者の
 いろんな意味でアリーナの都合。
 NBAとNHLはアリーナを共用しているチームが多いので、他のチームが使っていると使えませんが・・・


 アリーナの経営者から見た場合、稼働率が重要なんですね。
 そのため、平日開催をしてもらうと稼働率が上がって、大変ありがたい。


 アメリカの場合、アリーナ経営者の経営意識が高く、アリーナの稼働率を上げるために、いろいろなスポーツ振興をしている。


 バスケットのNBAの場合、アイスホッケーのアリーナのオーナーたちが、アリーナの稼働率を上げるために設立した組織だったりします。
(そのため、アイスホッケーからバスケットへの変更も数時間で出来る)
 現状ですと、NBAの方がNHLよりも、人気があるんですがね・・・・


 バスケットでも、アイスホッケーでも、年80試合前後、ホームは40試合として、
 バスケットとアイスホッケーの二チームの共用なら、稼働率はそれだけで80日もある。


 とあるアリーナでは、「アイスホッケー」、「バスケット」、「インドアサッカー」、「インドアラクロス」と4つのスポーツチームがあるんだから、凄いものだ。
 さらに、コンサートやアイスショー、パーティなどのイベントがある。
 稼働率を上げるための執念が素晴らしい。


 そのため、BJリーグとかとは、そもそもチームの運営の考え方が違うんですね。


 『平日開催で、土日休日よりも観客数が減っても、アリーナが空(収入なし)よりはまし』と考えるのがアメリカ。
 レベニューマネジメントがしっかりしている。
 そのため、アメリカのチームが使うアリーナはほぼ固定。


 日本みたいに、あっちこっちのアリーナを使ったりはしない。
 アリーナとの関係もアメリカの方が強い。


 日本の場合、体育館は大抵役所なので、『平日値下げして、稼働率を上げて、1年全体で収入を増加させる』なんて発想はない。
 役所の人たちが、体育館の稼働率を上げるために、BJリーグのチームを作ろうとか、アイスホッケーのチームを作ろうとか、バレーのチームを作ろうなんてことは考えない。


 アメリカの場合、税金で大型アリーナを建設する場合、稼働率を上げるために、NHLとNBAを誘致しろなんて、条件が初めから付いていたりする。


 ゼビオアリーナと仙台89ERSの関係などを考えると興味深い。
 仙台89ERSはゼビオアリーナを使っているけど、他の体育館を結構使っている。
 ゼビオアリーナは月に2〜3回しかイベントがない時があるので、価格を下げて稼働率を上げるのが、得策だと思うのだけど(あと名前の宣伝のためにも)。


 しかも、ゼビオはアイスホッケーチームを持っているのに、試合の開催も少ないというか、ほとんどない。
 どういうコンセプト、ビジネスモデルで設計・建設したのだろうか?


 日本でも、フットサルのFリーグやバレーのVリーグがあるんだけど、体育館との関係はどうなんだろうか。


 話は変わりますが。

 MLS(メジャーリーグサッカー)がアメリカで人気らしい。
 推進しているのはNFLのスタジアムの所有者たち。
 NFLはホーム8試合しかないけど、MLSは試合数が多いから収入アップが期待できるそうな(一部重なるけどシーズンもズラしている)。NBAを推進したアイスアリーナ所有者と同じ原理。そのためにNFLの顧客名簿を転用。


 日本のスタジアム運営者も収益を上げるためにイベントをやるけど、スポーツチーム運営までは手を出さない。NFLのスタジアムも税金を投入されて建設されたんだけど、アメリカのビジネスセンスには頭が下がる。