EV(電気自動車)で、自動車産業の水平分業化は進展するか?

 自動車産業の水平分業化は進展するか?
 個人的には、既にかなり進んでいると思います。


【歴史】
 大昔のフォードやGMは内部に製鉄所を持つほどの自社生産。内製率が高く部品の7割ぐらいを自社で作っていたそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
 しかし、分業が内製率が低い水平分業が進んだ日本メーカーに敗北。
 日本では、アイシンとかデンソーなど部品大手がありますね。
 GMは部品部門をデルファイとして分離したほどです。


 じゃあ、自動車メーカーは何をしているかというと。基本的に組み立てと企画・設計。
 日本はエンジンは自社製というところが多いけど、中国など海外にはエンジンやフレームを作っていないメーカーもある。
 さらに、近年は、組み立てと企画・設計が別会社の場合すらある。


 EV(電気自動車)とは関係なしに、水平分業は起きている。


【近年】
 海外には、部品メーカーから出発して、自動車製造の請負をやっているところがあります。

 マグナ・インターナショナルの子会社、オーストリアの自動車製造会社マグナ・シュタイアーです。

 トヨタセントラル自動車も請負ですが、トヨタ以外を請け負ってはいません。

 対して、マグナ・シュタイアーは、クライスラーボイジャーBMW・X3など、複数の会社から請負をしています。


 とは言っても、半導体のように、設計専門のファブレスと製造専門のファブという関係には程遠いですね。


【さらに進むためには】
 設計専門のファブレスと製造専門のファブが出現するには何が重要なのでしょうか?


 その際、重要なのは、プラットフォームです。
 パソコン業界では、CPUメーカーのインテルが主導になり、プラットフォームを作っています。
 半導体ですと、TSMCのファブがプラットフォームを作っています。


 現状は、各社プラットフォームが異なっています。


 もし仮に、どこかの自動車メーカーやマグナ、中国のBYDが、プラットフォームの公開を始めて。
「上の部分は自由に設計してください」、「走行テスト・安全テストも協力しますよ」などを始めたら、水平分業が大きく進むかもしれません。

 逆に言うと、それが出ない限り、家電業界・パソコンのような水辺分業には到底なりえません。

 EVというよりも、「走行テスト・安全テスト」請負会社の出現のほうが、インパクトが大きいのような気がします。


【走行テスト・安全テストは重要なのか?】
 自動車の場合、エンジンが重くなったり、重心が変わってしまいますと、乗り心地や、走行時の安定性に問題が出る場合があります。
 そのため、どうしても、テストと修正から逃れられません。
 コンピュータの場合は、その手の厄介な問題はないので、単純なモジュール組み合わせて良いんですね(ノートは熱・電波が厄介ですが)。


【でも、大手はなくらない】
 例えば、パソコン。
 日本の場合、トップ8で9割のシェアを持っています。
 世界でも、トップ4で5割以上です。
 小さい企業も参入が容易ですが、コスト競争を勝ち抜いた大手もちゃんと存在します。