トヨタ:部品の共通化が大型・大量リコールの原因? 〜思考停止にならないために

 トヨタが大量リコールしましたね。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD100PQ_Q2A011C1TJ0000/


 その原因として、部品の共通化があげられています。


 さてさて、この原因は、正しいのでしょうか。
 解決方法はどうなるのでしょうか?


 部品の共通化を辞めれば、大量リコールはなくなるのでしょうか?


 大量リコールはなくなります。
 部品を使う車の台数が減ることにより、一回でのリコールでの対象台数は、少なくなるでしょう。
 つまり、大量・大型リコールになる代わりに、少量・小型リコールになる。
 そのため、大量リコールは減ります。


 ただし、リコール件数自体は増えます。


 なぜでしょうか?
 部品の種類が増えるためです。


 そのため、会社としての合計でのリコール台数は、変わらないかむしろ増えるかもしれません。


 なぜなら、部品一種類当たりの、チェックが甘くなる可能性があるためです。


【リコールが増える他の理由】
 もっとも、備品の共通化により、リコールが増える可能性があるにはあります。
 問題を認識しやすくなるためです。 


 生産数が増えますと、当然、不良品の数が増えます。
 その結果、原因追究は容易になります。


 10万個に1個の確率で不良品がある場合。
 10万個生産しただけでは、不良品が出ない場合もありますし、せいぜい1、2個しかでないため、まず不良品を見つけられないか、原因追究が非常に困難です(その部品が原因かも不明になる)。
 不良品=事故になるとは限らないため、認識されることは非常に稀でしょう。


 対して、1000万個生産すれば、不良品が百個でます。それによって、事故が起きるかもしれません。
 原因の追及が可能になることが考えられます。そして、リコールになります。


 大量生産の結果、不良品のある確率が変わらなくても、結果的にはリコールが増えます。


【思考停止にならないために】

 部品の共通化が大量リコールの原因→部品の共通化を辞めれば、大量リコールはなくなる

 と考える人が居ます。
 本来ならば、部品共通化を辞めれば、どうなるかも考えるべきなのですが・・・
 思考停止をして、非常に単純に、大量リコールがなくなると考えます。


 もっとも、これは、その人がバカと言うのではなく、人間のミスしやすい思考ミスなんです。
 人間が無意識に行う否定式思考法ですね。
 AならばB。だったら、AじゃなければBじゃない。


 でも、世の中には、AならばB、Aじゃなくても、Bということもありえますので・・・


 これを防ぐためには、否定だけで思考を停止させないで、否定した後、どうなるかのシナリオをちゃんと考えるクセをつけることが重要です。


 例1 親子喧嘩

父「親の世話になっているうちは、親の言うことを聞け」
娘「親の世話にならなければ、親の言うことを聞かなくても良い」
 その結果、家出する。


 論理的には、「親の世話になっていない場合」について定義されていない。そのため、「親の世話になっていないくても、親の言うことを聞け」という選択肢が残されている。
 つまり、どのみち、「親の言うことを聞け」という可能性がある。


 例2 デフレスパイラル
 不況→値下げ→収益悪化→給与減少→不況

 世の中には、デフレスパイラルを上記のように説明する人が居ます。
 そして、値下げがいけないと言う人が居ます。
 値下げしないことにより、収益悪化を防ごうとする考えです。
 では、値下げがしなければ、収益は悪化しないのでしょうか?
 

 実際は、収益は悪化します。
 買う量を減らしたり、価格帯の低い商品に移動するためです。第一、店舗レベルで見れば、安い店に流れますので。


 値下げを否定しても、収益悪化は逃れられないんですね。