日本企業はなぜiPHONEを作れないのか? 〜芸術とビジネス

 良くビジネス誌を読むと、出てくるが...この問いは正しいのだろうか?
 ネットでも、「なぜ、日本企業はiPhoneをつくれなかったのか」という記事がある。
 私が知る限り、日本のメーカーよりも遥かに巨大な携帯機メーカーである韓国のサムソンやLG、ノキアアメリカのモトローラも作れなかった。
 個人的には、なぜアップルが作れたのか?
 なぜ、アップルが作ろうとしたかの方が、重要に感じられる。
【文化とビジネス】
 新しい文化(ライフスタイル)を作り出した企業が膨大な収益を得る。
 ファッションだけではなく、家電などでもそうではないだろうか?
 ソニートランジスタラジオやウォークマンは新しい文化を生み出した。任天堂もそうだ。
 新しい文化を生み出し、その消費を独占すれば、膨大な富を得ることが出来る。

【単純なマーケティングでは追いつけない】
 マスマーケティングをしっかりやれば、作れただろうか?
 無理だ。マーケティングではユーザーが意識している物は出てくるが、それだけ。
 意識していない物は、なかなか出てこないし。そもそも、解決方法が出てくるわけではない。
 レストランやドリンクメーカーの味の調整とは違うのだ。創造力と突破力が重要になる。
 学問的な分析だけではなく、属人的なセンスや創造性の問題になるのではないだろうか?

【結局、スティーブジョブスとアップルの文化】
 アップルの内部事情をしらない私にとっては、スティーブジョブスとアップルの文化としか言いようがない。
 スティーブジョブスが居るアップルは芸術の臭いがする会社だ。
 ジョン・スカリー時代のアップルとはまるで違うような気がする。あの時代は単なるコンピュータ会社。
 ジョブス氏はマッキントッシュを作る際、単純な機能だけではなく、芸術家みたいな独特なコダワリがあった人だ。
 iPodでもiPhoneでもiPadでも、設計的思想はマッキントッシュのときとやっていることは変わらない。『誰にでも使いやすい物を供給して、人々のライフスタイルを変える』
 基本は、いつもこれだ。
 ここまで大風呂敷を広げ、実行する会社は少ない。
 また、ジョブス氏は単純なハイテク会社の経営者というよりは、PIXERに投資をして巨万の富を築くなど、メディアや芸術を理解しているような気がする。
 個人的には、この時の経験が、iTuneなどの設計に生きたのではないだろうかと思う。

 結局のところ、ジョブス氏のような存在は、アップルにしかいない。
 ソニーの社長も、どうにも管理者にしか見えない。芸術家色はあまり感じられない。
【芸術家の創造性】
 日本ではあまり認識がされないが、芸術家の創造性、ライフスタイルへの提案能力は、理系の人間や文系・体育会系では、なかなか太刀打ちできない。
 商品コンセプトを作るために芸術家・コピーライターを使う場合が多いが、それと同様だ。
 近年、小売でも売れる店舗を作る建築家など、芸術とビジネスはだいぶ近づいている。
 日本メーカーはデザインを重視するようになったが、芸術家のビジネスへの利用はまだmだのような気がする。、

【商品構成と組織】
 iPodとマックの連携。iPodiPhoneiPhoneiPadの近さは非常に面白い。
 重なっていて、共食いしている面もあるが、連続性が製品の早期立ち上げを容易にしている。この連携の上手さは、ビジネスモデルの構築上手さを感じさせる。
 MACiPodiPhoneiPadという順序も面白い。
 どの程度計画的なのだろうか?
 普通に考えたら、大から小でMACiPadiPhoneiPodのような気もしなくもない。
 しかし、利用から考えたら、パソコンからMP3プレイヤーへの音楽の転送は一般化していたので、MACiPodなのだろう。
 アップルは新規事業なので、部署間の縦割りを感じさせない。
 それに対して、日本企業は、パソコンも携帯も音楽プレイヤーも既存事業なので、部署間の縦割りで苦労しているのが見える。
 ソニーは新しい物を出したのに部署間の縦割りで疲弊したのとは対照的だ。メモリスティックを標準装備するなど、頑張っては居たんだけど...
 松下はビエラリンクなど連携させるけど、そもそも革新的な製品出さないし...


【プラットフォーム作り】
 これは企業の強い弱いが露骨に出ますね。
 日本はDVDとかメディアのプラットフォーム作りは上手いですが、OS系はアメリカ系が強い。
 パソコンCPUではアメリカ系ですが、携帯系CPUではイギリスのARMですし...それぞれですね。

iPhoneは最初から売れたのか?】
インターフェイスが良いからだろうか?
インターフェイスは、そんなに変わっていない。
 アメリカの人にiPHONEを見せてもらった時、カッコイイと思ったが、何に使って良いか判らなかった。正直あまり魅力を感じなかった。日本の携帯にそれなりに満足していたからだ。
 しかし、ある時期から欲しいなと思い始めた。

少し時間を戻して、思い出してみよう。
当初から、iPHONEは売れていただろうか?
http://labaq.com/archives/51174064.html
実は売れていない。当初日本では売れなかった。他のアジアでも立ち上がりは鈍かった。
それが一時期から爆発的に売れ始めた。マスコミが盛んに取り上げて、それが普及に輪をかけた。 
 きっかけは忘れたが、世界カメラとか、面白いアプリが出てきた頃だと思う。
結局は、ゲーム機やパソコンと同じ、利用価値がなんぼ、ソフト次第の要素が大きいような気がする。