なぜ今回の円高が深刻なのか?

 1ドル85円は、史上初めてではない。もっとも、ドルのインフレ率と円のデフレを考えると、実は95年の100円程度のレートだったりする。
 現在の日本は、1ドル85円になって、一人当たりのGDPでアメリカとどっこいどっこい。 
 日本は1987年以降2000年まで(1998年を除き)一人当たりのGDPは、アメリカ以上でも、危機だ、危機だとならなかった訳ですから、実際のところどうなんだろうという感じです。 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4542.html
 逆に競争力の低下、国力の衰退を感じてしまいます。
【外部環境が違う】
 もっとも、外部環境が95年とはだいぶ違います。例えば、液晶。95年当時は、日本でシェアが90%以上あった。つまり、円高になれば、商品の値上げで対応できた。
 しかし、今は台湾や韓国があります。値上げをしたら、負けてしまいます。
 自動車も似たようなものです。以前は、高賃金のアメリカやヨーロッパがライバルでした。今は、中国など発展途上国の工場がライバルです。
【2000年代に何が起きたか】
 2000年代に急速な円安がおき、産業構造が80年代前半(物づくり中心の産業構造)に逆戻りしてしまいました。その結果、待っていたのは、アメリカ・ヨーロッパとの競争ではなく、世界の工場になった中国、韓国、台湾との過酷な競争です。