ルネサス再生、経営再建のキーポイント、自動車向け半導体の特殊性

 ルネサスに対して、 産業革新機構(国)やトヨタなどの自動車メーカーからお金が注入されることになりました。


 技術流出の心配と記事に書かれていますが・・・正直なんの技術か不明です。
 私の勉強不足ですね。


 各社共通化は無理などと言われていますが、なぜ無理かは、書かれておらず。
 だいたい、こういうのは、思い込みなんですけどね。
 過去そうだったから、未来もそうだろうで考えてしまう。しかし、コンピュータ進歩は速いので、常識は常にチェックしないといけない。


 コンピュータは、カスタム化・専用回路を搭載することで、特定の計算性能を10倍〜上手く行けば100倍上がられます。しかし、そんな特定の計算が全体に占める割合は一部ですので、汎用CPU・マイコンの性能向上と共に、消えていくのが歴史です。
(3DゲームのGPUは使用頻度が高いので生き残った例です)
 命令を抜くカスタムもあるのですが、手間を考えると、微妙になることが多い。


 自動車向けマイコンアーキテクチャは、最先端ではなく、2〜3世代くらい遅れています。生産設備も最先端ではなく、2〜3世代くらい遅れています。


 そのため、最先端競争や価格競争から脱落した、ルネサスでも生きていけるわけですが。
 では、なぜ、なんとなくビジネスになるのでしょうか?
 それは、自動車向け半導体の特殊性のためです。


 では、自動車の半導体の特殊性とは、何なんでしょうか。


【パソコンの動作環境温度】
 昔、冬の朝、仕事場のパソコンが起動しないことが何回かありました。
 原因は、夜の間に室温が下がり、パソコンのCPUや電源が冷えたためです。


 パソコンの場合、動作環境の温度はだいたい10〜35℃くらい。
 これは一番良いと言うよりも、この範囲では動くことを保証しますという感じです。
 できれば、20℃前後。15〜25℃くらいが良いです。
 逆に考えますと、気温40度や気温0度では、まともに動かない可能性があります。
(動く部品、動かない部品のばらつきが出る)

 いったん動き出しますと、コンピュータが熱を出しますので、寒くても動きます。
 しかし、そもそも電源が入りません。
 また、電池にも動作温度がありますので。


【自動車の特殊性】
 対して、自動車で使う半導体の動作環境の温度は、どのくらいでしょうか?
 夏、エアコンを付けていない車内の温度は、50度を超えます。
 ダッシュボード付近は、70度を超えます。
 エンジン回りならば、100度を超えます。
 冬になれば、シカゴや北海道などはマイナス30度にもなります。


 つまり、パソコンのCPUやメモリでは、まともに動きません


 自動車向けのフラッシュの動作温度は、何とマイナス40度〜160度です。
 幅が200度もあるんです。

 温度以外にも、振動やノイズ、動作環境は過酷です。また製品寿命もパソコンよりも長いです。
(パソコンを10年使う人は稀ですね)


 普通のパソコンにこんなものを求めたらオーバースペックです。
 そのため、パソコン向け素材と、自動車向けでは、素材が違う場合があります。


 普通のパソコン向けは、温度よりも性能です。
 対して、自動車向けは、温度を満たしていないと、使い物にはなりません。
 そのため、最新の生産設備を持っているからと言って、自動車向けの半導体を製造できるとは限りません


 自動車向けの場合、性能よりも、信頼性のほうが重要です。
 そのため、バグの可能性がある最新のアーキテクチャよりも、少し古いのが好まれます。


 そのため、日本メーカーやヨーロッパの半導体メーカーが大きなシェアを持っているんですね。