俺俺 感想:ネタバレレビュー 〜アイドル亀梨の不幸

 アイドル映画=面白くない
 という方程式があるわけではないですが、基本アイドル映画は面白くない。


 アイドル映画と言うのは、ファンのための映画であり、ファンはアイドルが出ていれば良い。
 演出や脚本などどうでも良いため、冗談抜きで、演出脚本がどうでも良いものになりがちです。


 本作品、俺俺も、


 ジャニーズのアイドル亀梨氏が主演をやっている=アイドル主演=面白くない
 という連想が頭に浮かびます。


 が、意外と頑張っていた。
 どうにも、アイドルがマイナス要因にすらなっていた。
 客層は、8割アイドル亀梨のファン。
 逆に言うと、他の層を取り込めていてない。


 作品自体は、原作小説があり、不条理系ホラー系という感じでしょうか。
 ある意味現代性、社会性もある。
 さらに残酷さもある。
 

 じゃあ、ファンムービーとしては楽しめないかというとそうじゃない。
 単なるアイドル亀梨のファンは、亀梨が増殖する=沢山の亀梨君、沢山の演技をする亀梨君を楽しめて良かったみたいなことを後ろで言っていた。


 個人的には、亀梨君は演技をがんばっていたと思う。
 役を分けるのも大変でしょうけど、それ以上に、
 三人の俺が出るってことは、その間、少なくとも3倍の演技をしないといけないんだから。
 しかも、タイミング合っていないといけない。
 でも、その辺が評価されることはあるのだろうか?
 YAHOOの評価ポイントは、3.8とかなり高いけど、ファンによる過大評価なのか、客観性の高い作品の評価なのかハッキリしない。
 興行成績も10位。
 ここも、アイドル亀梨の不幸の不幸だろう。


 対して、評価ポイントが2.6程度のクロユリ団地が、興行成績2週連続1位なのは、なんとも。
 話題性があれば、内容がイマイチでも金になる日本の映画界。
 ここも、アイドル亀梨の不幸の不幸だろう。


【ネタバレ】
 注意:原作は読んでいません。

ことのきっかけは飲食店での些細な出来事であった。家電量販店で働く“俺”(永野)は、ある日飲食店にて一人で食べていたが、隣にうるさい耳障りな客が居たため、席を移動する。だが、その時、自分のトレイに見ず知らずの携帯電話が置いてあることに気付く。その携帯電話はすぐ隣にいた耳障りな客のものだと分かったが、“俺”はむしゃくしゃしてた為、そのままポケットにその携帯電話をしまってしまう。その後、携帯電話の持ち主の母から電話が来るのだが、“俺”は声マネをしてオレオレ詐欺を働く。
こうして、なりゆきでオレオレ詐欺を働いたその日から“俺”の世界に狂いが生じ始めるのであった。始めは携帯電話の持ち主の母が突然“俺”の家に来て“俺”のことを大樹という携帯電話の持ち主だと思っていて、大樹の母が持ってきたアルバムにはなぜか自分が写っているという出来事であった。そして、どうもおかしいと思った“俺”はすぐに実家へと向かうが、そこには別の“俺”がいた。
その後、実家の“俺”から連絡が来て、“俺”同士で集まる計画を立てる。そして、家電量販店で働く“俺”、実家にいて公務員の“俺”、大学生の“俺”が集まり、心地よい楽園、即ち自分だけのユートピアを築き上げるのであった。しかしそれは長くは続かず、やがて“俺”同士の殺し合いへと発展してゆく。

出典:wiki「俺俺」より抜粋。


 主人公、“俺”(永野)は、
 カメラマンになるという夢を持って専門学校へ行ったけど、プロにはなれず、家電量販店で働いています。
 周囲には夢は追わないと言っているけど、未練はたっぷりの様子。
 夢を追ってもダメ、でも、諦めることもできない、そして、妥協している現在の仕事もうまく行かない。
 悶々としている状態ですね。
 そして、異常な世界に入っていくわけです。


 どの段階から、異常な世界に入ったのかは、正直、良く判りません。
 が、携帯電話の持ち主の母から電話が来た時に、『あなた見られてますよ』と大きな目な看板があることから、このあたりからおかしい世界に入っているような気がします。


 この『目』の看板やポスターが、街中やATMにさり気なく、出ているので背景に気を付けても面白いのかもしれません。
 あと、背景に同じものの繰り返しが良く見られます。
 ある意味、増殖(世界)を表現しているのかもしれません。


 例えば、団地。団地って同じ建物が沢山あって、同じようなドアや部屋が沢山あるわけです。
 電柱、これも同じものが何本も並んでいます。
 サヤカ(内田由紀さん)をカメラで撮った時も、背景は鳥居が沢山あるポスターですね。
 あと、3人目の俺の家を、猿山ならぬ俺山と言うのですが、そこにある人形の数も、徐々に増えていくし、内装もガンガン変わっていく。

 結構、背景の細工もこっています。


 もうその段階から、亀梨君が増殖しているというだけではなく、世界自身が異常なんですねどこか。


 役目がいまいち判らないのが、謎の女、サヤカ(内田由紀さん)。
 彼女は、カメラマンとしての“俺”(永野)を肯定する存在。


【結論】
 基本的には、内面世界の話なのだろうか。

 二回見るか、小説を読むと良いのかもしれない。