「消費税増税より先にやることがある」という考え方の危険性

 「消費税増税より先にやることがある」という意見。
 一見、まっとうな意見で、説得力あるために、危険な意見だと思う。

 では、やることと言うのは、なんだろうか?

 「国家公務員の給与の削減」「無駄の削減」でしょうか?

 増税するより先に、「無駄の削減」をしろ。
 別の言い方をすると、「無駄の削減」をした後に、増税しろでしょうか。


【無駄の削減は、いつ終わるのか?】
 例えば、トヨタ。いつも、無駄の削減しています。終わる気配がありません。
 つまり、無駄の削減というは、日々行うものでして、終わりがありません。


 無駄の削減が終わった後という条件は、そもそも、「無駄の削減」に終わりがないので、いつまでも満たされることはありません。
 つまり、いつまでたってもやらないというのと同じです。
(リストラと言う言葉もほぼ同じです)


 無駄の削減は、毎年(毎日?)やるべきもので、特段にそれを条件にするのは変なんですね。しかも、終わりがありませんし。それらを条件にしている点で、危うさが爆発です。


 不可能な条件を条件として上げるのは、実質、やるきがないのと同じです。 
 彼らは、単純に増税反対なんでしょう。


 本来、平行で行える物をさも順序だってやらないといけないと思わせる議論や説明。
 本来、別々に対処可能な問題をミックスする議論や説明は、日常において良く行われます。


 そして、それは、問題の姿を歪めますので、正しくものを考える際や行う上での、邪魔になります。
 問題解決を困難にさせ、行動を送らせます。


【国会議員の給与・人数削減】
 自分たちの身を先に切れ。これは正論の様な気がします。


 しかし、これを先にやらないと、「増税させない」「財政問題」に手をつけさせないと言うのはやりすぎの様な気がします。


 国会議員の給与・人数削減は、正論ですが、小さな問題です。小さい問題を理由にして、大きい問題に手をつけないというのは、非常に問題のある判断に思えます。


 小さい問題を解決できないのに、大きい問題を解決できるのかと言う考えもありますが・・・結局、この辺りで、5年〜10年ぐらい留まっているような気がします。問題は日々拡大しているのに、いい加減先に進んでよの気分です。


 やっぱり、前提条件にせずに平行して解決する話だと思います。

【公務員給与の削減】
 これも、良くある議論を歪めるトリックです。
 仮に出来たとしても、ほとんど問題解決に関与しない話を、さも中核問題のように議論する問題です。


 「組織は些細な物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く」というパーキンソンの凡俗法則
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%87%A1%E4%BF%97%E6%B3%95%E5%89%87
 が働いていると考えて良いのではないでしょうか?


 社会保障に関しては、関心や知識がありませんので、議論できません。しかし、身近な給与の問題ならば(漠然と)議論は出来ます。
 マスメディアとしては、さらに、給与が高いとなれば、人々の嫉妬の感情を煽ることができます。

 
 そもそも、公務員給与の削減で、不足分をカバーできるのか?
 ある程度変動幅はありますが、何%カバーできるかは明示するべきではないでしょうか。
 でも、ほとんど、マスコミでも説明はありません。


 という訳で相変わらず、適当な推測。


 2005年で国家公務員の総人件費は約6兆円で、2009年度予算約百兆円に占める割合は6%弱です(郵便局分を抜いています)。
http://www.gyoukaku.go.jp/soujinkenhi/zu_hani.html
 不足分は、五十兆円。まぁ、借金で借金を返しているので、真水の赤字は二十〜三十兆ぐらいでしょうか?

 国家公務員が、ただで働いても、財政赤字は20%ぐらいしか減らない。
 郵便局員を除いた国家公務員は、だいたい75万人。国立大学や病院など独立行政法人を除いた場合、五十万人くらい。
 そのうち、自衛官が二十五万人。自衛官の削減は難しい。
(高い人もいるので、多少は削減できるでしょうが・・・)
 一兆円ひねり出せたら、たいしたものではないでしょうか。現実的には、5%ぐらいが関の山でしょう。


 ムダは、公務員の給与だけではなく、補助金などがあります。しかし、近年は公共工事も減少し、現在は予算に占める社会保障費が多いため、削減が難しくなっているのが現状です。


 90年代は、公共工事が異常に肥大化し、赤字の元凶と言えましたが、現在は医療費などの社会保障が出費の中心です。つまり赤字の元凶と言えます。しかしながら、削減は健康・生活水準に直結しますので容易ではなりません。
 景気対策など一時的に増加する公共工事などではなく、日常的に出費が出て、しかも増加傾向にある出費です。
 マスメディアは、いまだに90年代の知識で、物事を語っている節があります。