想定外の地震? 〜想定外とはどういうことなのか

 想定外と言う言葉、災害以降よくつかわれていますが、想定外とはどういうことなのでしょか?
 大きく分けて2点あります。

①項目・観点が抜けていた(そもそもパラメータがない)
②想定よりも、大きい・小さい・多い・少ないなどパラメータの大きい小さい。

 今回の地震は...②のパターン。

【想定していた内容にはちゃんと対応できていた】
 この事実、重要だ。
 想定さえしていれば、ちゃんと対応できるのだ。
 そうなると、なぜ、想定外になったかを考える必要があるのではないでしょう。


マグニチュード9クラスは史上初ではない】
 史上最大の地震は、チリ地震 (1960年)のマグニチュード9.5 
 明治三陸地震 (1896年)マグニチュード8.5
 アラスカ地震(1964年)マグニチュード9.2
 スマトラ島沖地震 (2004年)マグニチュード9.3

 マグニチュード9クラスは、地球上において前例があるのだ。
 60年代は、2回も起きている。しかも、同じ環太平洋だ。


世界の震源分布とプレート (M5以上、100kmより浅い地震
図の引用元:地震情報サイト

 プレート直ぐ側と言うことを考えると、マグニチュード9クラスが起きないという想定自体が、かなりおかしい。
 通常の家なら判りますが、原子力と言う非常にシビアなもので、マージンを多く取るもののはずだ。 
【国内・地域だけを前例にする意味があるのか?】
 内陸部ならまだしも、かなり無意味ではないでしょうか。
 それなのに、その地域の過去最大が8.5だから8.5を想定。
 それ以上が来たら、想定外というスタンスは、土木・建築学会や地学の学会などから叩かれそうな気がする。

 福島第1原発の着工日1967年9月ですので、マグチュード9クラスの地震が地球上で起きることは判っていたはずです。

 おそらく、地学の専門家に、マグニチュード9の地震が起きそうなエリアは?
 と質問したら、三陸沖・東海沖を指すでしょう。

日本の国土は、地震・火山噴火などの災害が発生しやすく、世界全体に占める日本の災害発生割合は,マグニチュード6以上の地震回数は世界で発生した地震のうち20.5%が日本で発生。

活火山数は世界全体の7.1%がこの狭い日本に集中しています。この割合は世界の0.25%の国土面積に対して非常に高くなっているといえます。

世界における日本の地震割合

マグニチュード6以上の地震回数 活火山数 日本国土の割合
20.5% 7.1% 0.25%

文書の引用元:地震情報サイト

 世界のマグニチュード6の20%が日本とは何とも、ショッキングな数値だ。
 地質学的な根拠はないが、マグニチュード9の20%が日本でも、おかしくないのではないだろうか?

 なぜ、どんな根拠でマグニチュード9を想定から外したのか、議事・資料を見返す必要があるのではないでしょうか?

【想定の設定】
 とは言っても、むやみに稀なケースを対象にしたり、数値を極端な値にしては、何も設計できなくなる。
 その際、やはり前例というのが、非常に大きなものになるのですが、前例をどう取るかにことなるだろう。
 商品の場合、カテゴリーが違う商品の前例なども積極的に採用することが必要でしょう。

 自分は違う、
 自社は違う、
 自国は違う、
 というスタンスではなく、
 他人、他社、他国の前例をきっちり学ぶ必要性があるような気がする。