■技術経営戦略の良くある失敗
「技術者・開発者は市場・消費者を見ていない」と多くの人は言う。
私は以前大手のメーカーに勤めていまして、そのときも、上記のような話を聞きました。そして、コンサルティングをしている仲間からも、そのような話を聞きましたし、営業、経営者の人からも聞きました。
しかし、本当だろうか?
私はメーカー時代、開発部や工場を行き来していました。
私の経験から言って、技術者・開発者の多くは、先進的ユーザーです。そして、しばしば職場において、新製品の話や技術のトレンドなどの話をします(ただし、皆ではない)。
つまり、技術者・開発者の多くは、ちゃんと市場・消費者を見ています(ただし、皆ではない)。
その話を、大手メーカーの技術系出身の部長さんにしたところ、非常に同意していただけました。
現場を知っている人と知らない人では、全然印象が違うのです。
逆に、「技術者・開発者は市場・消費者を見ていない」みたいなことが言われる場合、企画部・営業部と技術部・開発部との間で、コミュニケーションの問題が起きています。
下の図みたいな感じです。
上記のことを言う組織は、左の図のように一部の人だけが接触するコミュニケーション構造になっています。
企画部・営業部の人たちは、技術部・開発部の管理職の人と話し、その部門の総意としてしまいます。
十人十色と言う言葉がありますように、総意なんて滅多にありません。
第一、今の時代、上司と部下のコミュニケーションは上手く言っていないので、「上層部の意見=その人の意見または一部の意見」程度の認識でいないと組織を見誤ります。
■googleやappleは?
googleやappleは、かなり技術部・開発部の意見が、商品開発に反映されます。そうしないと、時代を切り開く、今の先を行く、製品は出せないのです。
なぜでしょうか?
今の消費者(過去の消費者)の意見を聞いて、製品を出すだけでは、時代を切り開けませんし、下手をすると過去の消費者に物を売ることになってしまいます。
■接着剤役は?
現在の日本では、技術と市場を結びつける人材を活用できていない。
このような人は、一見、技術者として中途半端、企画者として中途半端に見えるためだ。
しかし、技術者として超一流かつ企画者として超一流なんて、滅多にいない。
社外から、コンサルタントとして、雇えば良いんですが、必要性を認識している経営者は少ないの現状です。。