補助金の終了して、ガソリンの価格がさらに高騰している。
これはいつまで続くのだろうか?
それを理解するために、新自由主義とその変化を知る必要性がある。
1980年、新自由主義はインフレを対策として機能した。
■インフレが問題だった、アメリカとイギリス
1970年、オイルショックを機に世界的にインフレになった。
インフレ対策として登場したのが、新自由主義。規制緩和をして、国営企業を民営化して、労働組合を弱体化させて、自由競争により企業・供給サイドを強くすることにより、インフレを無くす。
これはそれなりに機能した。
アメリカとイギリスではインフレが抑え込まれた。
(日本では労使協調によりインフレを抑え込んだし、フランスやドイツもインフレが収まったので、新自由主義だけが解決策ではない)
■復活するインフレ
コロナが終わるとインフレが世界を襲うことになる。
なぜか、ウクライナ戦争がきっかけと日本では語られますが。
データを見ると、インフレはウクライナ戦争前の、2021年末から始まっている。
つまり、ウクライナ戦争は関係ない。
■真の原因は独占と財政
放漫財政と市場独占が、インフレを引き起こしている。
俗称、インフレ税と呼ばれるものだ。
「赤字国債の大量発行、税取らなくも良いじゃない?」なんて、のび太なみの思考が日本を覆っていますが。
そんな、うまい話があるわけもなく、インフレと言う形で生活を直撃する。
税金を払わないで庶民楽と言う話ではなく、インフレで首が閉まるのだ。
ちなみに、資産を持っている人は、資産がインフレに比例して自動的に増えるので、そんなに苦しくない。首が閉まるのは、賃金労働者だ。
特に資産のなく家賃を払う若年層ほど首が閉まる。
ただ、それだけでは説明できない点も多い。
インフレ便乗値上げ、独占・寡占により価格が上昇しているのだ。
■規模によるコストダウンと市場の占有
企業規模を大きくすると、規模の経済と合理化により、コストダウンが可能である。
その一方で、市場シェアが拡大すると価格コントロール能力が強化される。
資本は、コストダウンと価格上昇により利益を得る。つまり、資本家にとってM&Aによる規模拡大はプラス面が多い。
コストダウンは消費者にとってプラスですが、価格コントロールによる価格の上昇はマイナスになる。つまり、消費者にとってM&Aによる規模拡大は当初はプラス面が多いが市場占有率が高くなると、マイナス面が強くなる。
新自由主義の効用が逆転し始めるのだ。
■企業業績は悪くない
企業業績を見ると判るけど、企業業績は悪くなく、利益が増えている企業も多い。
特に独占・寡占企業。
■具体例 アメリカにおける変な話
2010年代ごろから、変な話が出始める。
・食料品
農家が市場に出す家畜の価格は横ばい、もしくは下落なのに、消費者の小売価格は上昇しているというネジレ現象が起き始める。
原因は、中間業者の食肉加工業者・流通業者が寡占状態になったためだ。
そのため、中間業者が高い利益を得る一方で、生産者と消費者が損をすることになる。
これがグローバルレベルで起きている。
・航空路線
21世紀に入ってから、航空会社の合併が相次いでいる。
その結果、一部路線で、寡占・独占状態が発生して、価格が高騰している。
また、価格が高騰していなくても、搭乗率が上昇している(満員で乗れない状態が増えている。つまり、割引をしないで良い)。
■日本の大手石油元売り
三菱石油と新日本石油が統合し、JXになり、JX,旧エッソ、モービル、ゼネラルと統合し、現在のENEOS:シェア約50%
出光興産と昭和シェル石油と統合し、現在の出光(ブランド名は出光とシェル):シェア約30%
「大協石油」と「丸善石油」が合併してコスモ石油。:シェア約15%
つまり、約95%。寡占と言って良いのでは?
末端のガソリンスタンドは競争しているかもしれないが、元売り自身が競争をしなくても良いのだ。
この辺は、コンビニも同じ。
■2010年頃になると、話が変わってくる
新自由主義のコアは、自由競争にもかかわらずM&Aによる市場独占を認めるようになった。建前上は、M&Aの自由を強調したものだけど、結果、独占市場・寡占市場が形成されることになり、自由競争は著しく制限されることになった。
その結果、アメリカやヨーロッパ、日本では、資源価格が下落しているのに、価格が下がらないという現象が起きている。
日本では円安が加わり、ガソリンの高値が続いている。
■世界規模で見ると。なぜ、ロシアと中国を国際市場から排除したいのか?
ウクライナ戦争によりロシアの安い資源とヨーロッパは断絶。
ヨーロッパはインフレに苦しんでいますが。
エネルギー産業など一部の産業はボロ儲けじょうたいです。
(旧西ヨーロッパはロシア依存が低く、イギリスは石油ガスを自給。そのため本来はエネルギー電気代の急上昇が起きるわけがない)
ロシアと中国は、西側資本による市場独占を妨げる数少ない存在。
世界の鉄鉱石の生産は、西側資本が牛耳っていますが、例外がロシア。
ロシアは資源大国であり、また国家により管理されている。またその資源をロシア自身で加工できる。西側の便乗値上げでロシアも利益を得ていますが、正直、協調性がない。 ありとあらゆる資源で、西側資本による独占を妨げている。
発展途上国の多くは、資源を採掘しても加工できないので、嫌がらせで、資源の持ち腐れにすることが可能なのですが、ロシアの場合、加工して、外に出ししまう。
西側資本にとって邪魔な存在なのだ。
ロシアは資源ですが、中国は製品によって、西側の独占を妨げ居る。
西側が価格を釣り上げて、中国は安い製品をグローバルサウスに売ってしまう。
西側にとって面白くないのだ。
そのため、西側はロシアと中国を国際市場から排除したい。
しかし、グローバルサウスも判っているので、西側の思惑にのらない。
■まとめ
新自由主義はイデオロギーやメカニズムが変化して、インフレ退治の仕組みから、インフレの原因に変化した。
この変化は一国のみならず、グローバル規模の話である。
グローバルサウスはロシア・中国とも付き合うことにより、インフレを回避を試みるが。西側の消費者は逃げれないだろう。